Device Art CREST Symposium: "3D Display Cube/ Fairy Finder Series"
by Kazuhiko Hachiya


デバイスアートCRESTシンポジウム

「3Dディスプレイ・キューブ」/「Fairy Finder」シリーズ

プレゼンテーション:八谷和彦(アーティスト)
2007年5月18日@秋葉原UDX4F:アキバ3Dシアター

八谷:八谷です。アーティストをやっております。あと、『PostPet(ポストペット)』というメールソフトがあるのですが、それを開発した「ペットワークス」という会社の代表もやっております。CRESTでは主に、僕や土佐君は製品に非常に近いところで関わらせていただいています。今日は、主に去年活動していた内容をご説明します。


7.1●「3Dディスプレイ・キューブ」

去年は主に、私は2つのものを作っていました。ひとつは「3Dディスプレイ・キューブ」【図1】【図1】3Dディスプレイ・キューブクリックして拡大というもの。先ほども、NHKの『デジスタ』という番組の映像がちらっと流れていましたけれど、私はそこで審査員をやっておりまして、一昨年前、そこに持ち込まれたものに「3Dディスプレイ・キューブ」という手作り作品がありまして、それが非常に面白かったので、いつか量産する時にお手伝いができたらなと思っていました。それで、このCRESTの中でも自分のテーマは、主に「ディスプレイ」だと考えておりまして、今までにない表示するシステムを、できるだけ具体的な形として作っていくことを目標にしております。

 今画面[スクリーン]に映っておりますのが(まさに今日の朝、撮ってきたものなのですが)、今回のプロジェクトで作成された3Dディスプレイ・キューブです。高さがだいたい90cmぐらいの大きさになっています。これがキューブのワンユニットでして、モジュール化されています。これを10×10×10、つまり1000個のキューブ状に並べたLEDディスプレイというのが、今回の試作です。これで今すぐ発売できるというわけではないのですが、かなり量産品に近いやり方で作っておりまして、内容や耐久性を評価するような形の試作品としては成立しているのではないかと思っています。

 通常、だいたいの立体ディスプレイというのは実際は2Dの空間に展開されていて、右目用と左目用の2つの画像を重ね合わせ、それを偏光レンズで分解する、という形式が多いと思うのですが、これはディスプレイ自体が3次元になっているというものですね。今は10×10×10でやっていますけれど、100×100×100でも1000×1000×1000でもいいわけで、非常に大きな立方体のキューブにも発展できるようなものです。

 今は画面[スクリーン]でこうなっているので、実際に3Dになっている状況は実物を見てみないとちょっと分かりにくいかと思いますが、中の方も全部LEDが発光するようになっていて、それを見せるためにキューブ状のユニットは細いワイヤーで支えられている形になっています。こちらの実物は、今年の9月末に日本科学未来館で予定されている「デバイスアート展」で実物をお見せできる予定です。


7.2●「Fairy Finder」シリーズ
    『Fairy Finder』

もうひとつ、昨年度の「デバイスアート展」で発表させていただいたものとして「Fairy Finder(フェアリーファインダー)」というシリーズがあります。これは個人的にちょっと前から始めていたものなのですが、子供でも触れるようなデバイスアートの作品として作っているものです。技術的には「不可視ディスプレイ」と呼んでいるのですが……普通ディスプレイというと、例えば色々な方向から見えるとか、そういうふうに発展してきたわけですが、あえて普通の人の目には見えないディスプレイというものとして作りました。

 例えば、これ[スクリーン]のここらへんは消えているのですが、この丸いサークル状のもの(コースターとして設定されています)、このコースターの下では像がきちんと見えます。コースターを置いていないところは、ディスプレイに像が映っていても見えないという……そういうタイプのディスプレイをここ2年ほど作ってきました。

 これ[スクリーン]は去年発表したもので、『コロボックルのテーブル』【図2】【図2】table_of_the_Colobockle(撮影:米倉裕貴)クリックして拡大というテーブル状の作品です。これの新作を今年の春ぐらいに作っていました。で、さっきの作品はカフェテーブルとして作っていたのですが、今度の新作はバーテーブルとして作ろうと思っていて、『人魚のバーテーブル』【図3】【図3】人魚の窓(撮影:木奥恵三)クリックして拡大というのが仮のタイトルです(注:後ほど『人魚の窓』に改題)。こちらの方は昨年度の事業として撮影を行い、今年はハードウェアといいますか、テーブルの筐体の部分を作って、やはりこれもできれば今年の9月の展覧会でお見せできればと思っています。

 今回、人魚の動きを水中撮影したのですが、こういう生映像をお見せする機会は、たぶん今後もないのではないと思いますので、せっかくなのでお見せしたいと思います。ちなみにこの「FairyFinder」のシリーズではパソコンから映像を出しているので、実際のデータは1024×768pixelの解像度になっています。それで、細かいアクションがランダムに出されるのですが、それをひとつ見てみましょう[スクリーン]。

 不可視ディスプレイなので、これも目には見えていないのですが、鏡かコースターターか、そういうものに、人魚の像が映るという、そういうものになると思います。この映像は水中撮影で、ダイビング・ショップのプールの底に黒いフェイクファーを敷きつめて撮りました。こんな感じです……[スクリーン]。

 これは映像のコンテンツというよりは、最終的にはデバイスアートの作品のための映像素材を先に作っておいたという形です。できればこちらもバーテーブルとして使えるレベルの試作品として作りたいと思っています。


 僕の場合はどちらも、実際に製品が想定できるところまで完成度を上げていくことを、当プロジェクトの中ではやりたいと思っており、そういう方向で試作をしているところです。以上で私の発表を終わります。